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平安女流歌人4 その他

紫式部のの後輩たち

対 象

実施日

小式部内侍

大江山

小式部内侍「こしきぶのないし」

百人一首
「大江山 生野の道も 遠ければ
     まだふみもみず 天の橋立」
「大江山近くにある 生野から続く丹後への行く道が遠いので 母がいる天の橋立に行ったこともないし 当然母からの手紙も届いていませんわよ」

【掛詞】
「生野と行く」「踏みと文」
2種類の掛詞が使われている。
【縁語】
「橋」と「踏む」は相性が良くてセットでよく使われる言葉

母親譲りの和歌の才能と瞬発力でバカにしてきた相手を一瞬で黙らせた小式部内侍のキレッキレの一撃。
この時、まだ中学生くらいだというから驚き。

以下、十訓抄より

小式部内侍は幼い頃から天才的な歌詠みとして知られていましたが、あまりの出来の良さに周囲は
「母親がゴーストライターで代筆しているんじゃないか」
という噂を立てていました。

あるとき、宮中で歌会があり小式部はそれに出席を命じられます。
しかし母親は夫の保昌と一緒に赴任先の丹後国へ行っていて京都にはいませんでした。


小式部が自室で歌会の準備をしていると公任の息子である定頼が通りかかり
「今日の歌はどうするつもりだい?丹後に行かせた使いの者は帰ってきたかね?(普段から母ちゃんにアドバイスもらってるんだろうから不安で仕方ないだろ?ママからの手紙は届いたかい?)」
と和歌ハラをかましてきます。

定頼が言いたいだけ言ってその場を去ろうとしたその時、小式部内侍は部屋の仕切りであるカーテンから片手を出し定頼の服の裾をガッと掴みます。
「おいちょっと待て、言い逃げすんな」

そして
「大江山 生野の道の 遠ければ
     まだ踏みも見ず 天の橋立」
と詠みました。

歌を詠まれたら返歌をするのが当時のマナー。
しかし定頼は歌のあまりの見事さに
「いや、そんなバカな。こんな小娘がこんなにキレッキレの歌を詠むとは…ありえない…!」
と顔を真っ赤にして返歌をすることもできずに逃げ去ってしまったのです。

この話が噂になったとき、人々は
「あの子、実力で定頼様を黙らせたんですって!ママの代筆じゃなくて本人の才能だったのね!ステキ♪」
と小式部内侍を褒めまくったということです。


ハラスメントしてきた相手が立ち去るまでの時間で掛詞を2つと縁語を入れて、その上で相手の言ったことを完全否定する、という離れ業。これを弱冠15歳くらいでやってのける小式部内侍がクール!
多少盛ってるのはあるだろうとしても、こういう逸話が残るほどの歌人だったということです。

シングルマザー

小式部内侍は和泉式部から和歌の才能だけではなく恋愛の素養も受け継いだようで色々な男性と浮名を流す。
大江山で出てきた定頼とも付き合いがあったとも。まあ定頼は同世代からモテモテだったらしいので有名どころとは一通り浮名を流しているっぽいけれど。
母親に兄弟で彼氏がいたように、小式部も道長の息子兄弟と付き合ってもいた。
こういった小式部の恋バナは説話になって多くの物語に載ることになる。

夫は居ないが子供は2人。
シングルマザーだが、最初の子供は道長の孫にあたり、道長から祝福されているので認知はされた模様。
2人目の子供の出産時に亡くなってしまう。

小式部を亡くした和泉式部は悲しみを表した歌をいくつも残している。

伊勢大輔

伊勢大輔

伊勢大輔「いせのたいふ」
彰子サロンの次世代チームの1人。
紫式部パイセン大好き女子。

お祖父ちゃんが百人一首49番の大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)
「みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え
       昼は消えつつ ものをこそ思へ」
伊勢大輔のご先祖様も、子供たちも有名な歌人が多いから歌人一家ですな。

百人一首

61番
「いにしへの 奈良の都の 八重桜
       けふ九重に にほひぬるかな」
「古い遠い時代の 奈良の都の八重桜が
 今日、平安宮中に 咲き誇っています」

奈良の八重桜を京都に献上する行事があって、それを受け取るのは女房の役目だった。
その年はベテラン女房の紫式部だったのだけれど、紫式部が気を利かせて新人女房の伊勢大輔に
「伊勢ちゃん今年は貴女やってみたら?譲るわよ」
と譲ってあげた。

紫式部クラスタの相模大輔は憧れの先輩から役目を譲ってもらったことに大感激。

しかもその式典に参加していた道長が
「ついでにその桜を題材にして歌でも詠んでみなyo」
と和歌ハラをしてきた。
紫式部が可愛がっている新人ちゃんがどの程度のものかと周りも興味津々。
そういう緊張する局面で伊勢大輔は即興でこの歌を詠んだ。

平易な歌に見えるけれども
九重は宮中のことで、当時の宮中はもちろん京都の平安京。
平城京の奈良を八重、それより一重多い九重を今の平安京である京都に当てて、奈良時代の素晴らしい八重桜より、今の一条帝時代の方が優れているという意味を歌に込めているのがスゴイ。

同席していた彰子も喜んで歌を返す。
「九重に 匂ふを見れば 遅桜
     重ねてきたる 春かとぞ思ふ」
「宮中に 咲き誇る遅咲きの八重桜をみると
     春が重ねてきたのかと思うほど見事ですわね」
この彰子の歌を代作したのが紫式部。

そりゃあ伊勢大輔の喜びも何重にもなったでしょうよ。とオチをつけてみる。

紫式部から伊勢大輔に花を持たせてあげたのか、無茶振りというハラスメントなのか、どうとるかは個人の好みでどうぞ。
道長は和歌ハラだと思うけど。

和泉式部

和泉式部の方が彰子サロンの後輩らしい。

両者の歌集から

肉食系で有名なあの和泉式部が彰子サロンに入ってきた。
尊敬する紫式部パイセンは和泉式部のそういうところを好きじゃないみたいだけど、私は和泉式部の歌の才能は以前から気になっていたし、どんな子か興味があったから出会ったその日に彼女を部屋に誘って二人で女子会を開いたの。

翌朝、彼女が帰ってから
「思はむと 思ひし人に 思ひしに
      思えし如も 思ほゆるかな」
「仲良くなりたいと 思える人だなと 思っていましたが
思っていたとおりだと 思える素敵な伊勢大輔パイセンでした」
と可愛い歌をもらったから

「君もわが 思はざりせば 我を君
       思はむとしも 思はましやは」
「私が和泉式部ちゃんのことを 良い子だなと思ってなかったら
和泉式部ちゃんも私のことを良い人って思ってくれることになると 思ってくれるかしら、いや思わないでしょう」
って返したわ。

夜通し話していたんだけどやっぱり思ってた通りいい子で気が合いそう。

思う連発!
初対面の次の日に歌でふざけ合うことができるってことほ相性が良かったのでしょう。

 

 

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